働きながら発達障がい児を育てる 働きながら発達障がい児を育てる

第6回就学相談、保育園卒業

 就学相談の前日、リュウは39度の高熱を出していました。就学相談を延期してもらおうかと思い電話をしてみましたが、一度延期すると次がいつになるかわからないと教育委員会に言われたので様子を見ました。幸い当日の朝は平熱に戻り、元気だったので予定通り就学相談を受けました。

 就学相談は特別支援学校や療育センターで行われます。リュウは通いなれた療育センターで就学相談を受けました。当日は夫も休みを取り、同席してもらいました。相談会は1時間半の間隔で1組のペースで進みます。会場に案内されるとリュウは別室で知能テストを受け、私たち親は生活能力や親の希望の聞き取りがありました。生活能力の聞き取りではリュウは1~2歳低く値が出ました。知能テストではIQがほぼ平均くらいなのに、生活の面に関しては手助けが必要な場面があるということになります。親の希望の聞き取りでは、私たちの希望を素直に伝えました。両親が共働きなので送迎が困難、校区の学校は小規模校なのでリュウ向けだと思う、そして何よりリュウのことを知っている人が住んでいる地域で育てたい...。

 私がリュウを育てている感覚では、リュウくらいの障がいを持っていたら支援学級を希望する人が多かったのです。支援学級に行ければ一番良いのかもしれませんが、その他の要因を考えた時、前述の理由により地域の学校に行かせたいと決断したのでした。相談員さんは「支援学級に行かせることだけがいいこととは限らない、学校と保護者が連携していけば普通学級でもやっていける場合もある、学校任せにせず情報を共有することが大事」とおっしゃっていました。リュウが知能テストを終え、少し安心した気持ちで帰路につきました。

 就学相談の結果の連絡は思いのほか早く来ました。友人から1か月くらいかかると聞いていたのに1週間で電話があったからです。担当の方は「普通学級で行きましょう」ということでした。私は希望しておきながら「本当にいいのですか?」と聞き返してしまいました。「後は個別に学校に配慮をお願いしてください」という返事をもらいました。就学相談はあくまでも判定を行うだけで、個別の配慮は各人で学校にお願いするということになります。これで、一つ区切りがつきました。

 就学相談の結果を療育センターの心理の先生に報告しました。心理の先生は「ではお母さん、学校に伝える内容をお母さんがまとめてください、A4一枚くらいに」とおっしゃりました。え?私がするの?と思いましたが、学校に相談に行くのにポイントがはっきりしないと困難な点をダラダラ話してしまい、支援の方法がうまく伝わらないと思ったのでいいきっかけになりました。早速リュウについてまとめてみましたが、伝えたいことが多すぎてA4三枚くらいになりました。これではポイントが何なのかわかりません。なので、以下の4点に絞ることにしました。

・リュウの主な特徴
・リュウの困難な部分
・現在、家庭や保育園で配慮している点
・現在気になる点(こだわり等)

これを2,3点ずつ提示します。困難な点はあげればキリがないのですが、学校に通うようになり困難な部分は変わるはずです。リュウの本質的な部分に関わる事を伝えることにしました。書類作成は仕事で慣れているのですが、自分の子どものことになると難しかったですね。どの事項も大事に思えて、本当に先生に伝えたいことを取捨選択するのに時間がかかりました。主観的な書き方をすると先生へのお願いばかりになってしまうので、客観性を保つため、主人や心理の先生、保育園の担任の先生を巻き込んで作り上げました。リュウの支援のポイントを絞り込んだA4一枚の表ができました。

 自分の息子のことを1枚に端的にまとめたことがなかったので、この作業をやっていて不思議な気持ちでした。サポートブックの簡易版ができました。作成の要領はつかんだので、今後習い事や担任が変わった時、中学進学に役に立ちそうだと思いました。もし、就学等に関して参考にされたい方はオヤトコ事務局までご連絡下さい。

 並行して診断を受けました。就学に際して診断名がはっきりした方が学校も配慮しやすいからです。診断名をよりわかりやすいものにした方がよいかと思い、WISCⅢという詳細な知能テストを受けました。このテストは13項目のテストからIQを出しますが、健常児は13項目の凸凹があまりないそうです。発達障がいを抱える人は凸凹が6以上あると言われます。リュウは最大10の凸凹があったので、やはり何らかの生き辛さを感じるということでした。テストをリュウのそばで見学していましたが、心理の先生の質問の意図を違った解釈で答えることが多かったです。反対に図を見て答えるテストはとてもよくできました。

 凸凹はありましたが、テスト項目を平均すると100で知能的には平均という値が出てしまったのです。診断名は高機能自閉症という結果が出ました。診断を受けた気持ちとしては、特に何も感じなかったですね。今までは「広汎性発達障害の疑い」ということだったのですが、リュウと生活をしていて「疑い」ということは無いなと思っていましたので。診断も先生が「リュウ君と生活をしていて「アスペルガー」と「高機能自閉症」どっちだと思う?」と聞かれたので、私は「リュウは会話が上手では無かったので「高機能自閉症」だと思う」と伝えると、では「高機能ね」という診断になったのです。私が決めることなの?とビックリしましたが、高機能もアスペもあまり変わらないので、私もその辺はこだわりませんでした。
(※アスペルガー症候群と高機能自閉症を区別するか同じとするかは研究者や医師の見解によって異なります。)

 小学校に入学するにあたって、クラスメイトへのカミングアウトをどうするかで迷いました。一応カミングアウトをするならと思って一枚もののクラスメイトへの手紙と保護者向けの手紙を書きました。心理の先生は「リュウくんは今のところ激しい他害がないので、一学期間は様子を見ましょう、その上で必要ならカミングアウトを考えましょう。リュウくんみたいなタイプは未診断児を含めて結構います」と言われました。なので、入学後すぐにカミングアウトをするのはやめました。

 この間、年長さんということもあり保育園行事はたくさんありました。暑い中でのわっしょい100万夏まつりパレード、残暑の中での運動会、森の家での1泊2日のお泊り保育、リバーウォークでの音楽祭、そして生活発表会。どれも頑張って参加することができました。行事参加を不安に思っていたのは親の私の方で、リュウはそれなりにこなせるようになっていました。傾向としては、生活発表会や音楽祭など狭い空間での行事は見通しが立つからでしょうか難なくこなせましたが、運動会やパレードは、広い空間で立ち位置などの目印がどんどん変わるので、どう動いていいかわからず多動傾向になったり集中が切れたりするようでした。私も療育を通してリュウのことを理解する力がついたように思います。

 ポニー通園も年長で修了です。通園を始めた時期は課題をこなせない、順番にこだわるなどさんざん手を焼いたリュウですが、最後にはとても落ち着きました。先生も「最初はどうなることかと思ったけど、リュウくんは落ち着いたね」と言ってくれました。慣れない場所では力が発揮できないのもリュウの特性として認識できました。私も初めは母子通園が大変で面倒だと思っていましたが、リュウを理解するためにとても大切な時間だと気がつきました。悩んでいる時にいろいろ相談にのってくれた先生に感謝の気持ちでいっぱいです。

 3月、保育園で卒園式がありました。離席は無かったのですが姿勢保持が難しいリュウは椅子に座ってもムズムズしているのが後ろから見えました。私は、ハラハラしてしまい、卒園に対する感動を味わうことができませんでした。それでも、卒園証書を前に出てきちんとお辞儀をして受け取ることができました。同時に将来の夢を参列者の前で発表するのですが、「マクドナルドの店員さんになりたいとのこと」でした。普通の人にとっては難なくこなせる仕事でも、自閉傾向をもった彼にとって接客をすることは大変なことでしょう。それでも、成長の過程で接客ができるように導いてあげることができたら、それはすばらしいことだなと思いました。リュウの通った保育園は先生がみんな優しく勉強熱心なので、リュウへの対応がとても上手でした。リュウが登園拒否をすることなく無事に卒園できたので、保育園の先生方にはとても感謝しています。

 園庭に出ると満開の桜。「小学校に行っても大丈夫だよ」そんなふうに思えるくらいきれいな景色でした。

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